日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
在宅要介護高齢者の摂食・嚥下機能と健康関連QOLとの関連性
森崎 直子三浦 宏子守屋 信吾原 修一
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2014 年 51 巻 3 号 p. 259-263

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抄録

目的:本研究は,在宅要支援および要介護高齢者の摂食・嚥下機能の現状を明らかにし,健康関連QOLとの関連性を分析することを目的とした.方法:在宅要支援および要介護高齢者191名を対象に質問紙調査を行い,年齢,性別,要介護度,脳血管障害既往の有無,健康関連QOL,摂食・嚥下機能のデータを得た.健康関連QOLはSF-8を評価尺度とし,摂食・嚥下機能については地域高齢者誤嚥リスク評価指標(DRACE)を用いた.摂食・嚥下機能と健康関連QOLとの関連性はPearsonの相関係数およびステップワイズ重回帰分析を用いて解析した.結果:DRACEの平均スコアは4.29±3.81であった.Pearsonの相関係数では,摂食・嚥下機能はSF-8の下位領域である全体的健康感(GH),活力(VT),社会生活機能(SF),日常役割機能・精神(RE),心の健康(MH)の5領域とやや弱い相関関係を示した.さらに,交絡要因の調整のために重回帰分析を行ったが,社会生活機能(SF)と心の健康(MH)において有意な関連が認められた.結論:在宅要支援および要介護高齢者における摂食・嚥下機能は,社会生活機能や心の健康といった精神面での健康関連QOLの低下に関与する可能性が示唆された.

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© 2014 一般社団法人 日本老年医学会
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