日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
症例報告
第IX・XI・XII因子低下を伴う高齢者後天性血友病A
羽生 直史青田 泰雄後藤 明彦櫻井 道雄
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2015 年 52 巻 3 号 p. 285-290

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抄録
後天性血友病は凝固第VIII因子に対する自己抗体による出血傾向を認める比較的稀な疾患である.基礎疾患として,自己免疫疾患や腫瘍性疾患などを認めることが報告され,高齢者に比較的多い.英国での発症頻度は年間100万人あたり1.48人と報告されており,原因不明の出血をみたら,疑うべき疾患の1つである.症例は84歳の女性.皮下出血とHb低下のため近医より紹介受診した.著明な貧血とAPTT延長を認め濃厚赤血球輸血にて対応したが,出血が持続した.凝固一段法では,第VIII因子,第IX因子,第XI因子および第XII因子の活性低下を認めた.また第VIII因子インヒビター高値陽性(509 BU/ml)を認め,後天性血友病と診断した.基礎疾患の検索をしたが,明らかな異常は認めず特発性と考えた.PSL40 mg/dayにて治療開始したが,全身の皮下出血が顕著であり,輸血を必要とするHbの持続的低下を認めたために活性型複合体製剤を4日間投与した.投与後速やかに止血がえられ,PSLの減量を行い第64病日に退院した.第VIII凝固因子インヒビター出現による出血傾向は本症例のような重篤な出血傾向を呈することが多く本疾患に対する認識と迅速な対応が必要である.
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© 2015 一般社団法人 日本老年医学会
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