2016 年 53 巻 4 号 p. 419-423
症例は85歳男性.高血圧,脂質代謝異常に対し内服加療中.以前より起立時にふらつきを自覚していたが,胸部違和感およびふらつきを自覚し当科外来受診.頭頸部MRIおよび心エコーでは異常を認めず,心筋シンチで虚血が疑われたが,冠動脈造影検査では有意狭窄を認めなかった.ホルター心電図では最長2秒の洞停止のみで症状との関連もなくペースメーカーの適応はなかった.原因精査のため,植込み型心電図ループレコーダーを植え込んだ.植込み後,同様の症状を多数自覚.遠隔モニタリングを行っていたが,高齢の為上手く送信できておらず,有症状でも不整脈イベントが認められなかったことからループレコーダー摘出目的で入院.入院時にレコーダー記録をチェックしたところ洞不全による3秒以上のポーズ271件,最長4秒のポーズがあり,症状とも一致し洞不全症候群と診断した.ループレコーダー摘出とペースメーカー移植を行った.ペースメーカー移植後には症状は消失し洞不全がふらつきの原因であったことが確認された.高齢者のふらつきは多く,原因を特定しかねることがあるが,植込み型心電図ループレコーダーが有効であったこと,高齢者の遠隔モニタリングが容易ではないことが確認されたため報告する.