2018 年 55 巻 1 号 p. 34-40
高齢社会の進行とともに,心不全患者は激増し,パンデミックと形容されるに至った.高齢者心不全の特徴のひとつは,拡張障害に病態の首座をもつ左室駆出率が保たれた心不全(Heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)である.残念ながら,これまでの大規模臨床試験の結果からは,HFpEFに対する有用な薬物治療は確立していない.HFpEFの病態はheterogeneousであることが推察されており,個々の症例の病態を明確にしたうえで,テーラーメイドな治療方針を立てることが望まれる.