日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢者の腸疾患
1.高齢者の慢性便秘症の病態と治療
中島 淳大久保 秀則日暮 琢磨
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2020 年 57 巻 4 号 p. 406-413

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抄録

慢性便秘症は高齢者に多い疾患であり近年便秘症があると生命予後が悪いこと,心血管イベントが多いこと,CKD発症が多いことが明らかになってきた.この意味で便秘症は治療すべき病気として認知されるようになった.高齢者では結腸運動能の低下,直腸知覚閾値の鈍麻など高齢者特有の病態異常が明らかになりそのため単なる便秘ではなく直腸に便塊が貯留する糞便塞栓の発症に注意しなければならない.治療は酸化マグネシウムをまず使うが高齢者では特にマグネシウム血症に注意する必要があり,刺激性下剤はレスキュー薬としての使い方がベストな使い方である.最近多くの便秘治療新薬の登場で医療現場が大きく変わりつつある.

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© 2020 一般社団法人 日本老年医学会
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