日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
コミュニティアズパートナーを活用した地域診断による住民主体のフレイル予防活動支援プログラムの効果
河合 恒西田 和正江尻 愛美解良 武士佐藤 和之中田 晴美大渕 修一
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2021 年 58 巻 2 号 p. 272-283

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抄録

目的:我々はコミュニティアズパートナーに基づく住民主体のフレイル予防活動支援プログラムを開発し,教室によるフレイル予防に関する知識向上や行動変容効果を報告した.しかし,フレイル抑制効果は,その後住民主体のフレイル予防活動が継続されることによってもたらされると想定している.本研究では,教室終了後のフレイル予防活動の実践量の推移と,フレイル抑制効果について検討した.方法:地域高齢者のコホートからプレフレイル,フレイルに該当する参加者を募り,32名が教室を終了した(介入群).教室は地域診断やグループワークを通して,フレイル予防活動の実践につなげる内容であった.介入群には,教室終了時から3カ月ごとにフレイル予防活動の実践量について電話調査を行った.アウトカムは教室参加前(BL)と終了約1年後(FL)のコホート研究の会場調査にて,フレイル出現率,基本チェックリスト該当数,J-CHSフレイルインデックスなどを調査した.アウトカムのBLからFLにおける変化を,介入群と会場調査参加者からBL時の背景要因を共変量とした傾向スコア法にて抽出した対照群との間で比較した.結果:介入群の「フレイルによい行動を行った回数」は,教室終了時14.3回,3カ月後47.7回,6カ月後97.2回,9カ月後52.2回であった.BL時,FL時のJ-CHSフレイルインデックスは,群×調査時期の交互作用を認めた(F=6.531,p=0.012).介入群におけるJ-CHSフレイルインデックスはBL時1.3からFL時0.8と減少し,単純主効果は有意であった(p=0.009).結論:教室参加後,フレイル予防活動の実践量は6カ月から9カ月にかけて最大となった.それ以降に身体的フレイル指標の一部に改善効果が認められ,プログラムによる介入と実践がフレイル抑制効果をもたらす可能性が示唆された.

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