日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
症例報告
骨髄異形成症候群経過中に発症したHHV8陰性primary effusion lymphoma-like lymphoma
青田 泰雄牧 亨森山 充宇田川 翔平栽原 麻希渡辺 翼藤原 圭太郎岡部 雅弘横山 智央櫻井 道雄後藤 明彦
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2021 年 58 巻 2 号 p. 284-289

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抄録

Primary effusion lymphoma(PEL)は,体腔液中で増殖する大細胞型B細胞リンパ腫である.その発育様式には,human herpesvirus 8(HHV8)が関与するとされている.PELと診断されていた患者の中に,表面抗原など多くの相違点を認めるHHV8陰性例が存在し,近年HHV8陰性PEL-like lymphomaとして区別されているが,非常に稀な疾患であり未だ不明な点も多い.

今回我々は,骨髄異形成症候群加療中に発症した,79歳男性HHV8陰性の原発性滲出性リンパ腫を経験した.腹部CTで腹水が認められたが,明らかな腫瘤形成やリンパ節腫大などは認められなかった.腹水の細胞診では異型リンパ球を認め,それらの細胞表面抗原は,CD10(-),CD19(+),CD20(+)が陽性であった.副腎皮質ステロイド療法を腹水のために行ったが,患者は副腎皮質ステロイド療法の20日後にリンパ腫増悪で死亡した.今回我々は,HIV非感染高齢者に発症したHHV8陰性PEL-like lymphomaを経験し,貴重な症例と考え報告する.

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© 2021 一般社団法人 日本老年医学会
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