日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
総説
Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)2025コンセンサスの概要と意義
―サルコペニア診断からMuscle health促進へのパラダイムシフト―
荒井 秀典
著者情報
ジャーナル 認証あり

2026 年 63 巻 1 号 p. 1-6

詳細
抄録

世界的に起こっている急速な高齢化は,サルコペニアをはじめとする老年症候群の臨床的・社会的影響を顕在化させている.我々Asian Working Group for Sarcopenia(AWGS)は2014年に初の診断コンセンサスを提示して以降,2019年の改訂を経て,2025年にサルコペニアの診断基準をアップデートするとともにMuscle healthを健康長寿のため啓発するという新たなメッセージを発信した.本改訂の最大の特徴は,サルコペニア診断アルゴリズムの国際的整合性を高めつつ,従来の「疾患としてのサルコペニア」から「生涯にわたるMuscle health促進」へと概念的焦点を転換した点にある.特に,①診断対象年齢を中年期(50~64歳)へ拡大したこと,②低筋量と低筋力の同時存在を必須とする簡素化された診断定義,③身体機能を診断要件からアウトカム指標へ再定義した点,④WHO Integrated Care for Older People(ICOPE)との統合的枠組みを導入した点は,老年医学実践および予防医学の双方に重要な示唆を与えると考えている.本総説では,AWGS 2025コンセンサスの診断上の要点とMuscle health啓発の意義を概説し,今後の研究課題について論じる.

著者関連情報
© 2026 一般社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top