日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
原著
地域在住高齢者における軽度認知障害と健康関心度の関連:和光コホート研究を用いた横断分析
村山 洋史, 横山 友里, 野藤 悠, 千明 詩菜, 阿部 巧, 上野 貴之, 小川 将, 鈴木 宏幸, 野中 久美子
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2026 年 63 巻 2 号 p. 154-163

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抄録

目的:健康格差縮小には健康無関心層へのアプローチが重要となる.これは軽度認知障害(mild cognitive impairment;MCI)を持つ者であっても同様で,その後の認知機能低下抑制や認知症を含めた疾病発症予防のためにも健康への意識付けは不可欠である.本研究は,地域在住高齢者におけるMCIと健康関心度の関連を明らかにすることを目的とした.方法:埼玉県和光市で実施した和光コホート研究のベースラインデータを用いた横断解析を行った.和光コホート研究では,和光市に住む65歳以上の1,004名を対象に2023年9~10月に会場調査を実施している.本研究では認知機能検査を受検した1,000名を分析対象とした.認知機能は日本語版Montreal Cognitive Assessmentを用い,25点以下をMCIと判定した.健康関心度は,健康関心度尺度(12項目;得点範囲:12~48点)で評価した.共変量として,性別,年齢,婚姻状況,世帯構成,就労状況,教育年数,暮らし向き,主観的健康感,保有疾患数,抑うつを用いた.分析対象者全体での解析に加えて,性別,年代による層別解析,下位尺度(「健康への意識」「健康への意欲」「健康への価値観」)をアウトカムにした解析も行った.結果:男性は48.2%,平均年齢は75.3±6.4歳,MCI該当は65.0%であった.健常群とMCI群の健康関心度尺度得点は38.4±4.6点と38.1±4.9点であり,共変量を調整した重回帰分析の結果,MCI群は健常群と比べて健康関心度尺度得点が低かった(b=-0.67,95%信頼区間:-1.31,-0.04).層別解析では,男性および75歳以上でその関連が顕著であった.下位尺度別では,「健康への価値観」の得点が健常群よりもMCI群で低かった(b=-0.45,95%信頼区間:-0.75,-0.15).結論:MCI者は健常者に比べ健康への関心が低く,その傾向は特に男性および後期高齢者で顕著であった.さらに「健康への価値観」でのみ群間差が観察され,MCI者の特徴として示唆された.MCI者の健康関心を高める働きかけへの工夫が求められる.

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