日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
運動負荷心電図T波変化に及ぼす加齢の影響について
村山 正博春見 建一加藤 亮子村尾 覚
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1975 年 12 巻 6 号 p. 394-399

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抄録

健康者および非心疾患患者171人を若年者群 (39歳以下, 男31人, 女17人), 中年者群 (40~55歳, 男44人, 女32人), 高年者群 (56歳以上, 男30人, 女17人) に分け, 自転車エルゴメーター法による運動負荷試験 (300KPM/分, 3分後, 男性600KPM/分, 女性450KPM/分, 3分) を行ない, Frank 誘導3軸スカラー心電図を記録, 20msec毎のT波の高さから前額面, 水平面に各瞬時Tベクトルを合成し, T環を作成, 運動前, 中, 後の空間最大Tベクトル (Tmax.) を算出し, 運動によるT波変化に及ぼす加齢の影響を検討した. また運動前, 後の収縮期血圧, 左室駆出時間 (ET) を求め, 加齢との関連において運動によるT波変化に及ぼす影響因子について検討した.
(1)安静時Tmax, は各群間に差をみとめなかったが, 運動によりTmax. は若, 中年者群では減少, 高年者群では増大傾向をみとめた.
(2)運動による心拍数の増加は各群間に差をみとめなかったが, 高年者群では若年者群に比し運動による血圧上昇が著明て, またET短縮の程度が少なかった.
(3)若, 中年者群における運動によるTmax. の減少には主に心拍数増加因子が関与し, 高年者群におけるTmax. の増大には心拍数以外の血行動態的因子の関与が推測された.

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