抄録
60~89歳の健常高齢者118名および20歳代の健常成人30名を対象として, 血清過酸化脂質(LPO)および赤血球 Superoxide dismutase (SOD) 活性を測定し, 検討を行った. また, 合わせて測定した血清α-Tocopherol (α-Toc), 総コレステロール (Total-CH), 中性脂肪 (TG), High density lipoprotein-cholesterol (HDL-CH) およびβ-リボ蛋白 (β-Lipo) の4種類の血清脂質との関係さらに血圧との関係を検討した.
得られた結果は以下のごとくである.
1. 高齢者の血清LPO値 (MDA値) の平均値±標準偏差および95%棄却限界は, 4.86±1.04nmol/mlおよび2.79~6.93nmol/mlで, 高齢者での値は若年者での値より有意に高かった.
2. 血清MDA値は, TG濃度が高いほど, また, HDL-CH濃度が低いほど高い.
3. 高齢者の赤血球SOD活性値の平均値±標準偏差および95%棄却限界は, 11.23±1.49units/mgHbおよび8.27~14.19units/mgHbで, 高齢者での値は若年者での値より有意に低かった.
4. 血清MDA値, 赤血球SOD活性値および血清α-Toc濃度間の関係についてみると, SOD活性値が高いほどMDA値は低く, またSOD活性値はα-Toc濃度が高いほど高い.
5. 収縮期血圧, 拡張期血圧はともに, MDA値が高いほど高かったが, SOD活性値との間には有意の関係が認められなかった.