日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
経管栄養患者の呼吸器感染症における胃食道逆流の意義
核医学的方法と食道内pHモニタリングの比較
小川 滋彦小市 勝之東福 要平
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1994 年 31 巻 11 号 p. 829-834

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抄録
脳血管障害を有する経鼻胃管患者11例 (平均79.8歳) において, 胃食道逆流を定量評価することにより, 呼吸器感染症との関連を検討した. 胃食道逆流は, 核医学的方法と24時間食道内pHモニタリングの両者で比較し, さらに胃液pHと胃内細菌についても検討した. 呼吸器感染症の程度は, 核医学的方法による胃食道逆流と有意 (p<0.05) に相関したが, 食道内pHモニタリングによる胃食道逆流とは関連を認めなかった. 胃液pHは, 胃内グラム陰性桿菌の細菌数の対数と有意 (p<0.001) な相関を示したが, 呼吸器感染症の程度とは相関しなかった. 以上より, 胃食道逆流は経管栄養患者の呼吸器感染症の発生に重要な関わりを有することが示唆され, その評価方法としては, 食道内pHモニタリングよりも核医学的方法がすぐれていることが明らかにされた.
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