抄録
65歳以上の老年者多発性骨髄腫患者に天然型インターフェロン (HLBI) とVCAP療法を併用し, その治療成績をVCAP療法単独投与症例および非老年者症例の成績と比較した. 老年者16例はHLBI-VCAP併用療法, 12例はVCAP療法のみ, 非老年者では21例はHLBI-VCAP併用療法, 21例はVCAP療法のみで治療した. VCAP療法は Alexanian の方法で行い, HLBIは3×106IU/日を週2回筋注投与した. 寛解率 (部分寛解) は老年者HLBI-VCAP併用療法群では81%, VCAP単独群では58%であり, 非老年者HLBI-VCAP併用群では90%, VCAP療法単独群では76%であった. 生存期間の中央値は老年者HLBI-VCAP併用療法では54カ月, VCAP療法単独投与群では13.5カ月で両者間にp<0.05で有意差があったが, 非老年者HLBI-VCAP併用療法群では70カ月, VCAP療法単独群では34.5カ月であったが, 両者間に有意差はなかった. 以上よりHLBI-VCAP併用療法はVCAP単独療法に較べ生存期間の延長を示し, HLBIの併用は特に老年者多発性骨髄腫患者に対して有用と考えられた.