1995 年 32 巻 12 号 p. 781-785
過去14年間の食道癌手術45例 (平均年齢72.6±6.3歳) において多重ロジスティクモデル分析および Cox の比例ハザードモデル分析を用いて術死に対する術前・術後因子の相対危険度および予後に対する相対危険度を推定した. 術死の有意の危険因子は術後呼吸器系合併症のみであり, さらにこの術後呼吸器系合併症発生の有意の危険因子は癌 stage のみであった. また予後の有意の危険因子は(1)癌 stage, (2)年齢であった. 癌 stage の高い症例では術後十分に呼吸器の監視を行い呼吸器系合併症の発生の予防に注意しなければならない. また高齢者になるほど早期発見, 早期治療が救命と長期生存に最も重要な要素であり, 術前併存症のリスクは必ずしも大きな影響を与えるものではないと考えられる.