抄録
老人専門病院における urosepsis 症例について, 臨床的検討を行った. 調査期間は1992年1月より, 1993年3月までの15カ月間であり, 血液培養にて菌が検出され, 尿路が侵入門戸と考えられた41例を対象とした. 対象となったのは男性21例, 女性20例で, 年齢は67~94歳 (平均79.8歳) であった. 血液から分離された菌の内訳はグラム陰性桿菌29株, グラム陽性球菌8株, 真菌その他が4株であった. 最も多く分離されたのは大腸菌の19株で, 次いで緑膿菌の4株, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌3株, 真菌3株であった. 基礎疾患として最も多かったのは, 脳血管障害の14例で次いで悪性腫瘍12例, 糖尿病6例であった. 尿路にカテーテルを留置していたものは26例あり, その大半が長期カテーテル留置例であった. sepsis が原因で死亡した例は2例で, 他は化学療法により軽快した.
今回検討した41例中16例は urosepsis の発症に尿道留置カテーテルが直接関与していると考えられた. 患者の多くは自分で排泄のコントロールができない寝たきりの状態であり, 排尿管理の目的でカテーテルを留置していた. 長期カテーテル留置により尿路感染の発生は避けられず, 高齢で合併症を有し, 易感染状態にある患者にとっては urosepsis の原因となる可能性が高いと考えられた. 今後の対策として, 個々の患者の排尿障害の病態をよく把握し, できる限り長期カテーテル留置を避けることが重要であるが, やむを得ず留置する際には, 局所的感染予防とともに, カテーテルの汚染や閉塞が疑われた場合には短期間の予防的化学療法も必要と思われた.