日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
レボドーパの投与に伴い起立性低血圧の悪化を認めたパーキンソン病の1例
近藤 正樹上田 祥博牧野 雅弘中島 健二
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2000 年 37 巻 3 号 p. 255-258

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抄録

症例は70歳, 女性. 1995年から歩行障害, 1996年から最初左手に, 続いて右手に動作時振戦を認めた. パーキンソン病と診断され, アマンタジン, レボドーパを投与された. 投薬後症状は一時改善したが, 1998年4月休薬に伴い症状が悪化した. 5月当院に入院, 左側優位に固縮と動作時振戦, すくみ足, 姿勢反射障害および起立性低血圧を認めた. レボドーパ投与によりUPDRSの total score は61.3±1.2 (mean±SD) から41.7±5.4に改善したが, 起立による収縮期血圧の低下が12.5±5.8mmHgから17.8±9.2mmHgに悪化した. 本例ではレボドーパの投与に伴い, 固縮, 振戦, 無動は改善したが, 起立性低血圧は明らかに悪化した. パーキンソン病の治療に際して, 原疾患による起立性低血圧以外にレボドーパによる起立性低血圧を考慮する必要がある.

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