老人病院患者 (平均年齢79歳) を対象に鍼灸・理学療法室での腰痛・下肢痛に対する治療の効果を調べた. 治療効果を認めた群 (60名) は認めなかった群 (15名) に比べ, 鍼治療を受けている者の割合が有意に高かった (55.5% vs 26.7%, p=0.05). 両群間で, 低周波治療, ホットパック, マッサージ, SSP療法を受けている者の割合, 年齢, 性別, 脳梗塞・脳出血後遺症, 整形外科疾患, 貧血や低アルブミン血症の割合に差は認めなかった. 鍼治療を受けている者と受けていない者とで, 腰痛・下肢痛の程度に有意差を認めなかった. 鍼治療は高齢者の腰痛・下肢痛に有用であると考えられた. しかし, 鍼治療を受けている者の46.0%がその他の治療 (低周波治療, ホットパック, マッサージなどの理学療法) を併用していた.