日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
臨床所見と画像所見のみでは診断が困難な大脳膠腫症を小開頭生検で診断した症例
米野 由希子阿古 潤哉島田 由紀難波 吉雄松瀬 健鳥羽 研二大内 尉義
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2001 年 38 巻 4 号 p. 540-543

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抄録

症例は77歳女性. 1998年7月以降進行する左片麻痺, 構音障害を主訴に, 1998年11月入院となった. 入院2カ月前の頭部単純CTでは軽度脳萎縮以外に異常を認めなかった. 入院時単純CTでは特に異常を認めなかった. 造影CTでは左頭頂葉に淡い造影効果を認め, 右脳梁膨大部と脳梁体部に明瞭な造影効果を認めた. 頭部MRIのT2強調画像では脳梁から両側大脳半球にわたり連続性に広がる高信号域を認めた. 経過及び画像所見から脳腫瘍が疑われたが確定診断には至らなかったため, 小開頭による脳生検を施行する必要があった. 生検の結果 glioblastoma multiforme の組織像が得られた. 臨床所見と画像所見のみでは診断が困難な大脳膠腫症の1例と考えられたため報告する.

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