日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
眼球雑音を聴取し血管造影により頭蓋内内頸動脈狭窄を認めた高齢者高血圧の1例
海老原 文芦田 映直杉山 卓郎奥野 茂藤井 潤米満 勤
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2002 年 39 巻 1 号 p. 94-96

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抄録

患者は初診時 (1969年) 47歳, 現在79歳で外来通院中の男性である. 初診時血圧は164/98mmHg, 心電図, 尿検査では異常がなかった. その後8年間は非降圧薬療法で治療していたが, 最終的には降圧薬療法を開始した. 71歳時, 血圧の動揺が著明で高いときには210/110mmHgを示したので入院した. 入院時に両側眼球雑音 (右<左), 両側頸部血管雑音 (右<左) を聴取した. 75歳時に小脳梗塞を合併したが, 神経症状は短期間で軽快した. 76歳時, 動揺が著明な高血圧と脳虚血との関係を検討するために脳血管造影を施行したところ, 両側内頸動脈海綿静脈洞部に有意狭窄を認めた. 狭窄は左側の方が右側より高度であることから, 眼球雑音は血流増加によるものではなく狭窄性雑音と考えた. 血圧の上昇, 動揺が脳の虚血と関係する可能性を念頭に置いて患者の経過を観察中である.

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