日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
透析導入に至った前期高齢者と後期高齢者における性状の相違
藤巻 博粕谷 豊古賀 史郎平島 得路川口 祥子各務 志野高橋 忠雄水野 正一
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2002 年 39 巻 3 号 p. 291-295

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抄録
透析導入に至った前期高齢者と後期高齢者の性状の相違について検討した. 年齢60歳以上の慢性腎不全透析導入例 (121例) を対象とした. 男性例は71例, 女性例は50例, 年齢は74±7歳 (平均±標準偏差) であった. これらの症例を年齢75歳を境として, 前期高齢者群 (以下, 前期群) と後期高齢者群 (以下, 後期群) の二群に分けた. 前期群は64例, 後期群は57例であった. 検討項目は腎不全の基礎疾患 (非糖尿病/糖尿病), 体格, 併存疾患, 血液検査成績, 歩行, 認知機能, および心理・社会学的状況 (透析医療の受容, 配偶者同居, 子供世代同居, 就労) とした. 血液検査成績の検討は栄養学的指標を主体とした. 個々の症例から得られた成績を, 前期群と後期群のそれぞれで集計した. 二群比較にはt検定, χ2検定, および Mann-Whitney 検定を用いた.
腎不全の基礎疾患は, 前期群において糖尿病例が高頻度であった. 体格, 併存疾患, および血液検査成績は, 年齢に関連する事象あるいは糖尿病例の年齢分布の偏りを反映していた. 歩行不可例の割合と認知機能不良例の割合は, 有意差は認められなかったものの, 後期群で低値を示した. このことは, 年齢に関連する事象あるいは糖尿病例の年齢分布の偏りでは説明出来なかった.
透析医療を実施するための心理・社会学的状況は, 前期群が後期群に比して有利と判断された. 歩行不可例の割合と認知機能不良例の割合が後期群で低値を示した成因を, 透析導入をめぐる心理・社会学的側面に求めてみた.
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