日本臨床細胞学会雑誌
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症例
後腹膜に発生した粘液性嚢胞性腫瘍の細胞像
阿部 徳子眞田 照一郎原田 智子佐竹 立成中島 伸夫長坂 徹郎
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2008 年 47 巻 5 号 p. 372-376

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抄録
背景 : 後腹膜に発生する後腹膜粘液性嚢胞性腫瘍 (Retroperitoneal mucinous cystic tumor) はまれな腫瘍である. 今回, 術前の穿刺細胞診で診断が困難であった 1 例を経験したので, 術中に得られた嚢胞内溶液の細胞像を示し, 考察を加え報告する.
症例 : 20 代女性. 右下腹部痛にて当院に来院し, 腹部超音波検査で右側腹部嚢胞性腫瘤が認められた. 経皮的穿刺吸引液を用いて細胞診が 3 回行われたが, 粘液様物質が吸引されたものの, 上皮性細胞は認められず, 確定診断が困難であった. 開腹手術が行われ, 術中採取された茶褐色粘液状検体を用いて細胞診標本が作製された. 細胞所見では, 粘液性背景を伴って腺細胞の集団が多数認められた. 腺細胞は高円柱状で細胞質には粘液を認め, シート状, 索状, 乳頭状に配列していた. 組織所見では, 嚢胞内面に腺上皮細胞が, 平坦にあるいは乳頭状に増生していた. 間質への浸潤はなく, 低悪性度粘液性嚢胞性腫瘍と診断された. 腫瘍の間質細胞は, 免疫染色で「卵巣間質細胞」と同じ染色性を示した.
結論 : 後腹膜の嚢胞性腫瘤の穿刺細胞診で, 粘液が認められた場合は, 上皮細胞が認められなくても鑑別診断すべき疾患のなかに粘液性嚢胞性腫瘍を入れておく必要がある.
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© 2008 公益社団法人 日本臨床細胞学会
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