日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
介護予防, 考え方と問題点 介護保険制度の見直しにあたって
鳥羽 研二
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2005 年 42 巻 4 号 p. 383-391

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抄録

介護保険が5年ぶりに改訂された. もっとも大きな変更は「介護予防」という予防給付が設定されたことである. 介護予防は, 日常生活自立機能, 基本的日常生活動作, 認知機能など多くの機能低下を理解すること (総合的機能評価) が基本となる.
介護予防戦略では, 重点的な施策が求められ, 介護予防-厚労省のモデルとして地域高齢者を活発高齢者・虚弱高齢者に区分し新たに介護予防検診を実施する. 栄養, 口腔機能の評価と介入, 運動器機能 (筋力, 関節, 転倒) の評価と介入, 閉じこもりの評価と介入が重点とされている. 従来の要介護Iと要支援は, 地域包括支援センターで, これらのプログラムが決定される. また, 介護保険の非該当者でも, 虚弱に陥る危険がある対象は自治体が地域支援事業を行うこととなっている. 対象の高齢者の多くにパワーリハの適応があるのか大きな疑問も提示されている. 介護予防には実証的な, 研究にもとづいた介入が求められ, 転倒予防など具体的な項目ごとに内外の成績を集積した取り組みが求められる.

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