2005 年 42 巻 4 号 p. 450-452
症例は75歳女性. 主訴は左顔面神経麻痺, 左上肢不全麻痺. 既往歴は未加療の高血圧症と高脂血症を認めた. 現病歴は, 公園で子供と遊んだ後, 帰宅後に, 突然, 左手に力が入りにくくなった. 当院受診後, 当科に精査加療目的にて入院となった. 入院時は, 血圧が200/102mmHgと上昇していた. 神経学的所見は, 左顔面神経麻痺, 軽度の左上肢不全麻痺を認めた. 脳波検査は異常所見を認めなかった.頭部造影CT検査, 造影MRI検査で右中心溝近傍に網状の造影効果 (the caput medusae sign) を伴う静脈血管腫を認めた. 症状は血圧の正常化によって消失した. 頭蓋内の左顔面, 左上肢の運動神経路が静脈血管腫と近接していたことによると推察され, 血圧変動による静脈血管腫の血管拡張が左顔面と左上肢不全麻痺の原因と考えられた.