日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
低用量化学療法が奏効した腎機能障害を伴った高齢者小細胞肺癌の1例
藤本 勝洋原田 泰志渡辺 憲太朗
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2005 年 42 巻 4 号 p. 453-456

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抄録

症例は82歳男性. 進展型小細胞肺癌であり, 低用量の irrinotecan hydrochoride (40mg/body, day 1, 8 and 15) と carboplatin (100mg/body, day 1) により治療が開始された. 治療開始前のクレアチニンクリアランスは20ml/minであり終了後は28ml/minであった. 2方向測定による縮小率は88%であった. 副作用として2コース目の治療中に一時的な白血球減少 (900/μl) を認めたが, 感染症等の重篤な合併症もなくG-CSFにより正常化した. 低用量のCPT-11とCBDCAによる治療は腎機能の低下した高齢者にも使用可能な選択肢のひとつと考えられた. 今後, 高齢化とともに担癌患者は増加する傾向にあり, Quality of Life を保つ低用量化学療法のあり方を検討する必要があると考えられた.

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