日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
脳卒中後遺症の運動麻痺に対する Citicoline (CDP-Choline) の薬効検定
宮崎 学
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1969 年 6 巻 4 号 p. 245-252

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抄録

近年, リハビリテーションに関する研究の進歩とともに, 脳卒中後遺症の対策もまた長足の発展をみるにいたった. しかし, 脳卒中後遺症のリハビリテーションにおいては, 依然として機能回復訓練および外科的整復手術による運動麻痺の改善が対策の要諦をなしているため, 薬物療法は補助療法の一手段とみなされているようである.
しかしながら機能回復訓練が実施困難または不可能な発病直後ないし重症例においては, 必然的に薬物療法が対策の主導的役割を果さざるをえないし, また訓練ないし手術が可能なものにおいても, 対象例の多くが壮老年者によって占められている事実を勘案すると, 訓練ないし手術による侵襲は可及的僅少にとどめ, 一方, 薬物療法に対してより大きな役割を託することが理に適した措置であると思う.
今回, シチジン系の核酸誘導物質 Citicoline を陳旧かつ症状固定の脳卒中後遺症患者に連用してその臨床効果を Double-blind, Cross-over 法によって検定したところ, 本剤は脳卒中後遺症の主症状である筋強直 (rigidity) および関節拘縮 (contracture) に対して明らかに有効であることが実証された.

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