1956 年 31 巻 2 号 p. 54-64
脉翅目のヒロバカゲロウ上科 (Osmyloidea) に属する3科9種の染色体研究を行い, 系統的関係について論及した. 染色体数, 性染色体の型は Table 1 に示した通りである.
カマキリモドキ科 (Mantispidae) においては1対の巨大な常染色体が存在し, これがこの科の特徴となつている.
ミズカゲロウ (Sisyra japonica) のX-Y染色体の第一分裂における先行現象は他種の場合に比し著しくない. ツマモンヒロバカゲロウ (Plethosmylus decoratus) は X1 X2-Y 型の複合性染色体をもつている.
X-Y染色体の行動を成長期の核内に追求した. XとYとは肥厚期 (diakinesis) の時期にすでに接合をといて分離していることがたしかめられた. 細長期 (leptotene) から合体期 (pachytene) にかけてX-Y染色体は異常凝縮をなした3部構造をしているが, 二重期(diplotene) になると染色性が一時弱まり, 肥厚期 (diakinesis) に入つてXとYとは分離する.