遺伝学雑誌
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キイロショウジョウバエの痕跡翅(vg)の系統間 における温度反応の差異について
田中 英治
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1960 年 35 巻 8 号 p. 222-227

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抄録

1. vg, vg (coiso), vg; e11 (coiso), B; vg; e11 (coiso) および vg; se の5種の痕跡翅系における温度感受性について実験した。
2. これらの痕跡翅形質は系統によって温度感受性に差異が認められた。
3. 5系統のうち vg; se 系は最も高い温度感受性を示し, 30°Cでは雌雄ともほぼ野生型に近い表現型を示した。他の4系統も温度の上昇とともにかなりの感受性を示すが, vg; se 系との間には感受性の強さ, および感受期間の長さにかなり大きな差がみとめられた。
4. vg; se 系がこのように特異な温度感受性を示すのは, vg 遺伝子の作用に干渉する他の遺伝子 (変更因子または変更因子群) が重要な一つの原因として作用しているものと思われる。

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© 日本遺伝学会
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