抄録
以上述べたる煙草の數品種の染色體に關して研究したる結果を概括すれば次の如し。
1) 前記數種の本邦産 Nicotiana Tabacum の品種大草葉 (石劍) を除き全部ハプロイドの染色體數は24箇なり。
2) 大草葉 (石劍) のハプロイドの染色體數は他の品種の如く24箇なるが如し、されども少數の 30, 36(?), 42, 48 箇等の染色體を有する母細胞を見出せり、分裂も稍ゝ不規則なり。
3) 秦野葉の變異種は主として着葉性の變化のみにて染色體には未だ變化を認めず。
4) 外國種なる多年生煙草 (N. glauca) のハプロイドの染色體數は12箇にて GOODSPEED 氏の研究に一致す。
5) 指宿葉と多年生煙草のF1雜種の花粉母細胞に於ける染色體を見るに二價染色體と一價染色體と混在し赤道面に於ける其等の配置一定せず二價染色體の數は不定にして1-12箇の間にあり、染色體の分裂は不規則なり、二價染色體は allosyndeticに形成せられたるものゝ如し。
6) 此雜種は自花授粉によつて結實せず、其花粉を多年生煙草に媒助するも結實せず、又多年生煙草の花粉をF1に媒助すれば種子は一朔中2-3粒は完全なる大さに發育することあるも發芽せず、F1の花粉は殆んど全部發芽力なきも稀に發芽力を有するものあり。