抄録
 完全非破壊で新設および既設コンクリート構造物に適用でき,注水初期から連続的に精度よく吸水量を測定することを特徴とする表面吸水試験手法を開発した.本手法では10分間の測定により吸水抵抗性に関する複数の指標が得られ,深さ方向の影響も含んだ表層品質を評価できる.材料と養生,および暴露環境を変化させた供試体実験からは,水セメント比および型枠存置期間が表層品質に与える影響を表面吸水試験で検知できることを示した.実構造物の測定結果からは,10分時点での表面吸水速度は正規分布をとることが示され,表面吸水試験を表層品質の検査に用いる場合のしきい値の設定方法と検査の判定の考え方を統計的根拠に基づいて提案した.表面吸水試験を用いて微細ひび割れの影響を分析した事例や,膨張材,表面含浸材の効果を検証した事例を紹介した.