群馬保健学研究
Online ISSN : 1343-4179
ISSN-L : 1343-4179
筋萎縮性側索硬化症とハンチントン病の2つの神経難病をかかえた療養者の療養経過とケア困難
牛久保 美津子櫛谷 雅子高橋 千里
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 40 巻 p. 36-41

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抄録

本研究は、筋萎側索硬化症(ALS)とハンチントン病(HD)の2つの神経難病をかかえた療養者の療養経過とケア困難を明らかにした。対象事例A氏(60歳台)の妻と訪問看護師の2名を対象者として半構成的面接を行った。療養経過は、201X年にALSの診断、その後すぐにHDの診断を受けた。診断から死亡までの期間は9か月であった。妻と訪問看護師のとらえたA氏の心境として、【病気のショックとしょうがない気持ち】、【医療処置の意思決定で揺れ動く気持ち】、【精神的辛さや不安定な気持ち】、【自分の子供や兄弟への遺伝性が心配】が抽出された。介護・ケア上の困難は、【2つの病気の性質と治療に関する困難】、【本人の胃瘻造設拒否の意思を受け入れる困難】、【介護負担の増大】、【難病申請手続きの困難】が抽出された。病状進行の速いALSを中心にみながらも、両方の病状アセスメントを行い、本人と家族への精神的ケアとともに、適切な時期に対症療法を導入するための意思決定支援、合わせて家族介護負担の軽減が重要である。

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© 2020 国立大学法人群馬大学
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