群馬保健学研究
Online ISSN : 1343-4179
ISSN-L : 1343-4179
慢性心不全患者の自己効力感を中心とした行動変容を促す看護
松本 光寛高橋 さつき岡 美智代
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 40 巻 p. 42-46

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抄録

本事例は、慢性心不全をもつA氏が成功体験を経ることで自己効力感を高め、行動変容へ至るまでの単一事例である。心不全患者は疾病の増悪予防のため、生涯にわたり水分管理などの保健行動を獲得する必要がある。個人の行動に関係する心理社会的要因として自己効力感があり、行動についての自信や可能性の認知、目標とする行動の先行要因になると言われている。 慢性心不全をもつA氏(80歳代・男性)は20年間通院をしており、今回の入院は12回目である。A氏は半年で3回入院しており、医師、看護師より水分制限の必要性を伝えているがセルフケア行動が継続できないと報告があった。筆者である看護師MMは、A氏の病状理解や療養状況を確認するために訪問したが、セルフマネジメントの確認ではなくA氏の語りに耳を傾けた。MMは医療者からみた問題だけに焦点を当て行動変容を強いるのではなく、A氏を尊重することで信頼関係を構築していった。また、A氏の生きがいと困難事連結するなど生活背景を尊重した目標を立てた。そして、在宅に戻った際に実行可能な方法を用いることで成功体験を重ね、自己効力感が高まり行動変容を促すことに繋がった。

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© 2020 国立大学法人群馬大学
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