群馬保健学研究
Online ISSN : 1343-4179
ISSN-L : 1343-4179
終末期がん患者の就労に関する社会的苦痛の文献検討
阿部 佳奈子松本 幸姫京田 亜由美 塚越 徳子瀬沼 麻衣子二渡 玉江近藤 由香
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 42 巻 p. 42-52

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抄録

本研究の目的は,終末期がん患者の就労に関する社会的苦痛を文献検討より明らかにし,就労支援への示唆を得ることである。医学中央雑誌を用いて,“がん”“患者”“終末期”に“就労”“仕事”もしくは“社会”と“苦痛”“苦悩”“不安”“関係”を掛け合わせて検索し,研究目的に沿った10文献を対象とした。研究デザイン等は記述統計量を算出し,終末期がん患者の社会的苦痛の内容は質的帰納的に分析をした。結果,すべての研究が因子探索型研究であった。終末期がん患者の就労に関する社会的苦痛は,【職場に分かってもらえない疎外感】【今まで通り働けないことでの虚無感】【仕事ができないことでの家庭内の懸念】の3カテゴリーに分類された。看護師は,終末期であっても可能な仕事は継続できるよう産業看護師との連携や環境整備が求められている。また,社会の中で生きる意味や尊厳を高められるように,新たな役割を創造できるよう情緒的支援が必要である。経済面に対しては,MSW との協働による介入はもちろん,新たな家族のあり方に価値を見いだせるよう支援する必要がある。

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© 2022 国立大学法人群馬大学
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