群馬保健学研究
Online ISSN : 1343-4179
ISSN-L : 1343-4179
42 巻
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 2022 年 42 巻 p. 0-
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/01/20
    ジャーナル オープンアクセス
  • 近藤 由香, 京田 亜由美, 塚越 徳子, 瀬沼 麻衣子, 二渡 玉江
    2022 年 42 巻 p. 1-10
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的はがん患者自身が抱える親に対する悩み事について文献検討より明らかにすることである。医学中央雑誌を用いて,「がん」「がん患者」「悩み」「思い」「家族への思い」「苦痛」「負担」「親」のキーワードで検索を行った。がん患者自身が抱える親に対する悩み事については,内容分析の手法を用いて,サブカテゴリ,カテゴリへと抽象化した。 分析対象文献は16件であった。がん患者自身が抱える親に対する悩み事は,60コード,19サブカテゴリ,【親に自身の心身のサポートを担わせる悩み】【親に余計な負担をかけないための苦慮】【親の介護や健康への心配】【親に病気のことを伝えなければならない重荷】【子としての役割が果たせない申し訳なさ】の5カテゴリが形成された。がん患者は,親に自身の心身のサポートを担わせる悩みを抱いているが,子どもとして親に甘えたい気持ちと,子どもとして親を支えないといけない気持ちの両側面があることが示唆された。看護師は他職種と連携して,患者が求める社会資源を活用できるよう支援していくことが必要である。
  • 関根 恵理香, 金泉 志保美
    2022 年 42 巻 p. 11-20
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,発達障害児・者のきょうだいに関する先行研究の概観により,研究の動向を明らかにし,今後の研究課題を検討することが目的である。研究方法は,医学中央雑誌 Web 版(ver.5)を用いて,「発達障害」,「きょうだい」をキーワードとして検索し,17件の文献を分析対象とした。きょうだい自身を研究対象としている研究が最も多く,診療録や文献を対象としたものも若干見られた。発達段階区分別の内訳については,各区分で散見していたが,学童期以前を対象とした研究は少なく,思春期のみを対象とした文献は抽出されなかった。記述内容を質的帰納的に分析した結果,研究内容として【きょうだいの心理的反応やその影響要因】,【きょうだいが同胞との関係を構築する過程】,【きょうだいが捉える同胞およびその障害や家族像】,【専門職によるきょうだいへの支援の分析】,【きょうだいが発達障害の同胞のいる生活へ適応する過程】,【成人きょうだいの体験や思いに関する事例研究】の6カテゴリーが形成され,きょうだいの体験は周囲の人々のかかわりから様々な影響を受けていることが明らかになった。今後は,体験や経験が未だ十分明らかとなっていない思春期のきょうだいを対象とした調査を検討していくことが課題である。
  • 角田 明美, 渡辺 恵, 塚越 徳子, 京田 亜由美, 瀬沼 麻衣子, 北田 陽子, 廣河原 陽子, 一場 慶, 金子 結花, 関根 宏美, ...
    2022 年 42 巻 p. 21-31
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,10年間における群馬大学医学部附属病院(以下,群大病院)のがん看護外来で行った相談の動向を明らかにし,今後の課題への示唆を得た。対象は,2010年4月~2020年3月のがん看護外来の約13,000例の相談とした。調査項目は,相談件数,利用回数,相談者,相談者の受診状況,相談内容などとした。分析は,Excelを用いて年次別に項目ごとの単純集計を行った。結果,延べ相談件数は,2013年以降1,000~1,500件/年で推移していた。利用回数は,「初めて」が多かったが,2017年以降「2回目以上」が5割以上となった。相談者は,「患者」と「患者以外」が同程度の割合だったが,2015年以降「患者」が増加し,最近3年は7割程度であった。相談者の受診状況は,2015年以降「自施設外来通院中」と「自施設入院中」を合わせて7割程度であった。相談内容は,「がんの治療」,「不安・精神的苦痛」,「症状・副作用・後遺症」が全ての年で上位であった。当初は,「がんの治療」が最も多かったが,2017年以降「不安・精神的苦痛」が増加し,最近2年は4割程度であった。群大病院以外の地域がん診療連携拠点病院でのがん相談支援センターやがん看護外来の設置によって,群大病院に通院・入院中の相談者が多く,「不安・精神的苦痛」の相談が多い傾向にあった。群大病院に通院・入院するがん患者・家族とともに,都道府県がん診療連携拠点病院のがん看護外来として,群馬県内のがん患者・家族の誰もが相談できる体制を維持していくことが重要である。
  • 瀬沼 麻衣子, 手塚 明星, 塚越 徳子, 二渡 玉江
    2022 年 42 巻 p. 32-41
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,治療期の高齢がん患者の意思決定における家族が抱える思いを文献レビューより明らかにし,看護支援を検討することである。Web版医学中央雑誌(Ver.5)を使用し,“高齢者”,“がん”,“家族”,“意思決定”をキーワードに検索し,研究目的に沿った13件を対象とした。分析は,Berelson, B. を参考に,質的帰納的に行った。結果,治療期にある高齢がん患者の家族が抱える意思決定の思いは【患者の意思を尊重しつつ家族にとっても最善の選択をしたい】【先を見通せない状況下での重要な決断に負担を感じる】【高齢な患者の告知による精神的負担を考慮したい】【できる限りの治療をして少しでも長く生きてほしい】【安心できる場所で療養生活を支えたい】の5カテゴリが生成された。高齢がん患者は,価値観や信念をもとに意思決定をしていると考えられ,患者の思いを把握するために家族内のコミュニケーション能力を高める必要がある。また,加齢に伴う予備能力の低下により先の見通しが立ちにくいことから,治療や療養による日常生活の変化がイメージでき,先の見通しが立てられるように関わることが重要である。
  • 阿部 佳奈子, 松本 幸姫, 京田 亜由美, 塚越 徳子, 瀬沼 麻衣子, 二渡 玉江, 近藤 由香
    2022 年 42 巻 p. 42-52
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,終末期がん患者の就労に関する社会的苦痛を文献検討より明らかにし,就労支援への示唆を得ることである。医学中央雑誌を用いて,“がん”“患者”“終末期”に“就労”“仕事”もしくは“社会”と“苦痛”“苦悩”“不安”“関係”を掛け合わせて検索し,研究目的に沿った10文献を対象とした。研究デザイン等は記述統計量を算出し,終末期がん患者の社会的苦痛の内容は質的帰納的に分析をした。結果,すべての研究が因子探索型研究であった。終末期がん患者の就労に関する社会的苦痛は,【職場に分かってもらえない疎外感】【今まで通り働けないことでの虚無感】【仕事ができないことでの家庭内の懸念】の3カテゴリーに分類された。看護師は,終末期であっても可能な仕事は継続できるよう産業看護師との連携や環境整備が求められている。また,社会の中で生きる意味や尊厳を高められるように,新たな役割を創造できるよう情緒的支援が必要である。経済面に対しては,MSW との協働による介入はもちろん,新たな家族のあり方に価値を見いだせるよう支援する必要がある。
  • 松本 幸姫, 阿部 佳奈子, 塚越 徳子, 瀬沼 麻衣子, 京田 亜由美, 二渡 玉江, 近藤 由香
    2022 年 42 巻 p. 53-64
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,国内文献からAYA(adolescent and young adult)世代がんサバイバーの思いを明らかにし,今後の看護支援の示唆を得ることである。医学中央雑誌を用いて,“若年”,“若年成人”,“思春期”,“成人前期”と“がん”のキーワードで検索を行い,研究目的に沿った質的研究23件を対象文献とした。がんの部位などの記述統計量を算出し,AYA世代がんサバイバーの思いについて質的帰納的に分析した。結果,がんの部位は血液・リンパが34.9%と最も多かった。AYA世代がんサバイバーの思いは,【がん診断や治療に伴う受け入れがたい苦しみ】【がんと共に生活を営み続ける苦悩】【他者との関係性の中で抱く葛藤】【身近な人との関わりから得られる心地よさ】【必要な情報を得た上での自己決定への欲求】【生きていけることへの期待】【がん体験から得られる自己成長の自覚】の7カテゴリが生成された。ライフイベントにおける懸念を抱えながらもがんと共生するためには,AYA世代がんサバイバーの葛藤や強みを考慮した看護支援が必要である。
  • 佐竹 わか菜, 京田 亜由美, 近藤 由香
    2022 年 42 巻 p. 65-76
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、国内文献から終末期がん患者家族の看取りや患者の死に対する思いについて明らかにすることである。医学中央雑誌Web版データベースを用いて2007年4月から2020年3月に発行された文献について「腫瘍orがん」「ターミナルケアor終末期」「家族」に、「心理」「精神」「思い」のいずれかを組み合わせて検索した。最終的に38論文が抽出され、看取りや患者の死に対する家族の思いに関する記述を質的帰納的に分析した。その結果、終末期がん患者の家族が抱く看取りへの思いとして【穏やかな最期に向けて寄り添い尽くしたい】【死が近づく患者を自分が看ることに苦悩する】【患者のわずかな生への可能性を切望する】の3カテゴリーが抽出された。看護への示唆として、個別性に応じた予期悲嘆を促す援助、家族の複雑な思いへの共感と家族としてしてあげられる実感が持てるような関りの必要性が明らかとなった。
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