群馬保健学研究
Online ISSN : 1343-4179
ISSN-L : 1343-4179
非がん疾患の症状により入所施設から救急搬送後に入院となった高齢者のアドバンス・ケア・プランニングの実施状況
大谷 忠広佐藤 綾子中村 真美此川 衣子鈴木 和浩大嶋 清宏石井 秀樹牛久保 美津子
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2024 年 44 巻 p. 29-36

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抄録
本研究は、入所施設から大学病院へ救急搬送され入院した高齢者のACPの実施状況について明らかにすることを目的とした。調査対象は65歳以上の非がん疾患の内科的症状の高齢者29名で、診療記録閲覧調査を行った。収集したデータは記述統計を用いて分析を行った。調査項目は、対象高齢者の基礎情報、入院前と入院中に関するACPの実施状況とした。結果、平均年齢は85歳で、男性15名、女性は14名、認知症あり12名であった。搬送理由は、意識障害9名、呼吸状態の悪化8名、救急要請は施設職員が行っていた。入院前にACPを実施した8名中、延命治療を希望しない意思の表明が5名からあった。医療者とACPを実施したでは、入院中に話し合いをしたが4名、退院後にACPを勧められたが2名であった。施設入所中の高齢者は、急変時の症状が多岐に渡り、医療資格を持たない施設職員が救急要請をしていた。そのため、高齢者がACPに沿った医療を受けるには、意思表示が可能なうちに、家族や施設と希望する医療について具体的に検討しておく必要性が示唆された。
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© 2024 国立大学法人群馬大学
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