群馬保健学研究
Online ISSN : 1343-4179
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糖尿病を有する高齢者がセルフケアを実践するための看護支援に関する文献研究
能美 亜紀子岡 美智代 沼田 茜
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 44 巻 p. 37-46

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抄録

【目的】糖尿病を有する高齢者がセルフケアを実践するための看護支援を先行研究から明らかにする。 【方法】医中誌Webから「高齢者」and「糖尿病」and「セルフケア(自己管理or 慢性疾患セルフマネジメント)」and「支援」and「看護師」をキーワードとして原著論文を検索し、研究目的と合致した18件を研究対象とした。これらの論文を研究目的に沿ってナラティブレビューを行った。 【結果】対象論文は18件であった。看護支援は、【高齢者に関心を寄せて生活を傾聴することで療養行動を支える関係の基盤を作る】【“持てる力”を多角的にアセスメントし、機能低下を予測しながら支援を考える】【高齢者の自尊心と長年の経験から培った生活を尊重し、無理のない目標を一緒に立て自己決定を支援する】【在宅で継続できる管理方法を検討し、高齢者の言葉や能力に合わせたツールで教育する】【出来ていることを承認し、自己効力感に働きかけ、意欲を維持する】【家族もケアの対象者として捉え、多職種チームで関わることでサポート体制を調整する】という6項目のカテゴリーが生成された。 【結論】糖尿病を有する高齢者がセルフケアを実践するための看護支援は、生活の傾聴、高齢者の“持てる力”を多角的にアセスメント、高齢者の自尊心を尊重し、生活に合わせたセルフケアを自己決定するように支援する。そして、在宅で継続できる管理方法を高齢者の能力に合わせたツールで教育を行い、自己効力感に働きかけ意欲を維持する。そして、家族もケアの対象者として捉え、多職種チームでのサポート体制を整えていく。以上が糖尿病を有する高齢者がセルフケアを実践するための看護支援であることが示唆された。今後の課題として、糖尿病を有する高齢者がセルフケアを実践するためには、対象者への指導だけでは十分ではないため、生活史を傾聴した上で、高齢者の生活に合わせた支援が必要であることを明文化し、看護師への教育に活用できるようにしていきたい。

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