本稿では,シニア活躍に積極的に取組む企業として最近定年延長に踏み切ったダイキン工業株式会社(以下,ダイキンと記す)に注目し,社会情動的選択性理論(SST)に基づく職業的未来展望(OFTP)の観点から,制度変更が従業員の残りの職業人生の捉え方にどのような影響を与えたのかを調査した.調査の結果,モチベーション高く働いているシニアおよびミドルシニアは,制度変更を経て残りの職業人生をより前向きに捉えるようになっていた.定年延長が将来の時間/機会の認識にポジティブな影響を与えていたことに加え,同社の理念である「人を基軸におく経営」を体現した上司の働きかけがOFTPを高めている可能性が示唆された.