痛風と核酸代謝
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原著 1
正常耐糖能例において血清1,5-アンヒドログルシトール値は血清尿酸値と正相関する
古賀 正史笠山 宗正森脇 優司山本 徹也
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2011 年 35 巻 1 号 p. 9-17

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抄録

1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は SGLT4(sodium-glucose cotransporter 4)を介して腎近位尿細管で再吸収される物質であり,その再吸収が尿糖により抑制されることにより血中濃度が減少することを応用した血糖コントロール指標である.今回,血清尿酸値と血清1,5-AGとの関連について,正常耐糖能例を対象にして検討した.人間ドック受診者のうち,75gブドウ糖負荷(OGTT)で正常耐糖能を示した男性158名,女性173名を対象とし,男女別に解析を行った.高尿酸血症・痛風の薬物治療例は除外した.血清1,5-AGを目的変数とした多変量解析にて血清尿酸値のみが独立した正の説明変数であった.また,血清尿酸値を目的変数とした多変量解析においても血清1,5-AGが独立した正の説明変数であった.血清尿酸値はHbA1cとは相関を認めなかったが,血清1,5-AGと有意の正の相関を認めた.血清1,5-AGは空腹時血糖,OGTT2時間血糖と有意の相関を認めなかった.以上の現象は男女ともに認められた.糖尿病患者で血清1,5-AG値が血清尿酸値と正に相関することは既に報告されており,尿糖排泄増加に伴い尿中への1,5-AGおよび尿酸の排泄増加のためと考えられている.今回,尿糖が出現しない正常耐糖能例でも血清尿酸値と血清1,5-AG値とが正相関を示すことを初めて見出した.尿酸と1,5-AGは腎での再吸収の過程で尿糖排泄と独立した共通の機構により調節されることが示唆された.

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© 2011 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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