2014 年 38 巻 2 号 p. 109-116
慢性腎臓病(CKD)患者において,尿酸がどのような腎組織所見と関連しているかについて検討を行った.対象は,当院で腎生検を施行し,尿酸動態のデータが得られたCKD患者143例(男性94例,女性49例)で,平均年齢は45.7 ± 14.8歳,腎機能は血清クレアチニン値1.32 ± 0.97mg/dl,推算GFR(eGFR)59.6 ± 27.5ml/min/1.73m2,クレアチニンクリアランス(Ccr) 83 ± 39ml/minで,血清尿酸値(SUA)は6.8 ± 1.6 mg/dlである.SUAに関連する腎病理組織所見について重回帰分析を行ったところ,SUAは間質線維化・尿細管萎縮度とは強く(t= 3.858, p= 0.0002),細動脈硝子化(t= 2.169, p= 0.0318)とは弱く関連を示したが,糸球体の全節性硬化度,弓状・小葉間動脈壁肥厚とは関連を示さなかった.これらの結果から,CKD患者において高尿酸血症は,腎細動脈病変および尿細管間質病変の両者と密接に関連することが示唆された.