尿酸
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サリチル酸誘導体 diflunisal の血清尿酸値低下作用の機序
津谷 寛加川 大三郎内田 三千彦中村 徹
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1986 年 10 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

サリチル酸誘導体である消炎鎮痛剤diflunisal(DFS)では臨床的常用量にて血清尿酸値(SUA)の低下が認められるが,その作用機序,特に尿酸排泄促進作用および腎における作用点の解明を試みた.健常男子5例を対象として,(1)diflunisal 500mgを経口投与し,血漿中薬剤濃度(PDFS),60分間尿中尿酸排泄量(UUA),SUAの変動を,(2)diflunisal750mgと尿酸分泌阻害剤pyrazinamide 4g,あるいは尿酸排泄促進剤benzbromarone100mgを併用負荷しUUAの変動をそれぞれ観察した.Diflunisal単独投与時にはPDFSの上昇とともにUUAの増加が認められ,これらは以後12時間持続した.この間,UUAの増加に並行してSUAの低下が観察された.DiflunisalによるUUAの増加はpyrazinamide,あるいはbenzbromaroneとの併用時には認められなかった.Diflunisalは尿酸排泄促進によるSUA低下作用を有し,その作用点として腎尿細管における尿酸の排泄過程上,いわゆるpostsecretoryreabsorptionの抑制が推測され,少量投与時にはsecretionの抑制により尿酸貯留をきたす同系の薬剤aspirinとの間に相違を認めた.

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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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