痛風と核酸代謝
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痛風治療薬による肝障害発現の頻度に関するレトロスペクティブ調査研究
御巫 清允山中 寿鎌谷 直之細谷 龍男藤森 新山本 徹也波田 寿一
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2001 年 25 巻 1 号 p. 21-27

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抄録

痛風を専門的に診療する5施設における痛風治療薬の投薬開始後1年間の肝障害発生の頻度をレトロスベクテイブに検討した. 集計症例は4,458例で, 投与薬の内訳は, ベンズブロマロン2,349例, アロプリノール1,797例, プロベネシド216例, ブコローム10例, 併用86例であった.1,011例(26%)はGPT前値が50IU/Lを超えており, 投与開始後1年以内にGPT>100になった症例のGPT 前値は有意に高値であった. 投与開始後1年以内にGPT>100になった症例は147例(3.3%)存在したが, アロプリノール投与群, ベンズブロマロン投与群で頻度に差を認めなかった. 投与開始後にGPT>300になった7例はアルコール性肝障害である可能性が高かったが, 臨床経過よりベンズブロマロンの関与が否定できない症例が2例存在した. この検討はレトロスペクティブ研究であるため, 脱落例の中に肝障害例が含まれる可能性や, 各薬剤投与群の背景が一定ではないことによるバイアスを否定できないが, 少なくとも4,458例中には痛風治療薬投与による劇症肝炎は認められなかった.

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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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