2016 年 40 巻 3 号 p. 209-220
本報告は,コンピュータを用いた児童生徒(6年生と10年生)のICT Literacy調査を2005年から国レベルで行ってきた豪州の取り組みを取り上げている.3年に一度抽出で行われてきたこの調査は,2014年調査で4回目を迎えた.本論では,この調査項目の作成方法,コンピュータを用いた調査方法,得られたデータの評価方法と活用の指針の示し方などについて,1回目の調査からどのような進展を経てきたかを,訪問調査から得られた資料をもとにレビューしている. 結果として,豪州の調査の方法は,1)ICT活用に関する6つのプロセススキルや3つの柱に基づいて,求める能力をモデル化し,有能さに関する到達の姿をレベル分けで表現している.そしてその各姿への到達度を測る課題を作成し調査を行っている点,2)コンピュータを用いた調査が原則としてオンラインで行われている点,3)分析では,6年生と10年生の2つの時期における経年変化を調べ,学校と家庭生活などに関する質問調査結果とクロスし,目標への到達状況を調べている点,4)それらの結果を用いて,州レベルの取組等の改善点を考えようとしている点,が明らかになった.