日本草地学会誌
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牧草の可消化養分生産に関する研究 : 1 土壌水分がオーチャードグラスおよび赤クローバーの生育,飼料成分ならびに消化率に及ぼす影響
香川 邦雄星谷 佳功千葉 弘見
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1965 年 11 巻 1 号 p. 42-47

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抄録

牧草の生育,飼料成分ならびに消化率等の可消化養分収量構城要素に及ぼす土壌水分の影響を明らかにするため,オーチャードグラスと赤クローバーを供試し兎を用いて調査した。(1)オーチャードグラスの生育は最大容水量の70〜90%,赤クローバーは50〜70%の土壌水分条件下で最も良好な生育を示した。(2)土壌水分の欠乏による養分吸収の低下はオーチャードグラスでは燐酸が最も著しく,窒素がこれに次ぎ,加里に対する影響は比較的少なかったが,赤クローバーでは各成分とも明らかな傾向がみられなかった。また,過湿による養分吸収の低下はオーチャードグラスでは窒素が,赤クローバーでは燐酸がやや著しい影響を受けた。(3)各種の飼料成分含有率は,両草種とも乾物中のそれには著しい差はなかったが,生草中の含有率は土壌水分が多くなるにしたがって水分含有率が増加したため,乾燥区が最も高く中湿区がこれに次ぎ多湿区は最も低い値を示した。(4)家兎による各成分の消化率は,両草種とも蛋白質においては区間の差が少なく,その他の成分では中湿区が乾燥区および多湿区よりもやや低い傾向を示したが,乾燥区と多湿区との間には著しい差がなかった。(5)生草中の各種可消化養分,TDN含有率および栄養率は,両草種とも乾燥区が最も大で多湿区がこれに次ぎ,中湿区はこれよりも小であった。(6)各種の可消化養分およびTDN収量は,両草種とも乾燥区が最も少なく,土壌水分が多くなるにしたがって増加したが,その傾向は養分によって若干の差異がみられた。

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© 1965 著者
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