日本草地学会誌
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サイレージの品質に及ぼす埋藏時の空気混入率の影響 : II.水分含量および埋蔵方式が異なる場合の影響
高橋 正行
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1968 年 14 巻 1 号 p. 38-43

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抄録
高水分および予乾イタリアンライグラスを用い,それぞれを密封方式および加重方式で埋蔵した場合,埋蔵当初の空気混入率の差異がサイレージの品質にどの程度の影響を及ぼすかを検討する目的でこの試験を実施した。高水分および予乾材料とも,密封,加重いずれの場合も埋蔵量は600kg/m^3,450kg/m^3および300kg/m^3の3段階とし,加重方式の場合には,各埋蔵段階ごとに400kg/m^2および100kg/m^2の2種の加重のもとにサイレージを調製した。高水分材料の場合は,加重方式を排汁および無排汁の二通りに細分した。各埋蔵段階における空気混入率は,高水分の場合600kg/m^3では42.1%,450kg/m^3では56.6%,300kg/m^3では71.1%,また予乾材料の場合にはそれぞれ44.9%,58.7%および72.5%であった。サイレージの品質は,高水分材料では,密封,加重いずれにおいても450kg/m^3の場合が最もよく,ついで600kg/m^3,300kg/m^3の順となった。加重の場合には,450kg/m^3ではサイレージの品質は加重の大小にほとんど影響されなかったが,600kg/m^3では加重の小さい方が,300kg/m^3では大きい方が品質が良好であった。また,排汁の効果は認められなかった。予乾材料では,密封,加重いずれにおいても600kg/m^3が最もすぐれ,ついで450kg/m^3,300kg/m^3の順となった。加重の場合には,どの空気混入段階においても加重の大きい方が小さい場合よりも品質が良好であった。これらの結果から次のことが推察された。1.高水分材料,予乾材料のいずれにおいても,埋蔵当初の空気混入率の差異はその後の発酵過程に影響を及ぼし,サイレージの品質に差を生ぜしめる。しかし,その程度は予乾材料の方が少ない。2.高水分材料では,空気混入率が55〜60%の場合に最も良好な発酵が行なわれたが,予乾材料では空気混入率は45%以下であることが望ましいと考えられた。
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© 1968 著者
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