日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
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ISSN-L : 0447-5933
14 巻, 1 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1968 年14 巻1 号 p. Cover1-
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1968 年14 巻1 号 p. App1-
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 目次
    1968 年14 巻1 号 p. Toc1-
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 目次
    1968 年14 巻1 号 p. Toc2-
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 丹比 邦保
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 1-9
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    イタリアンライグラスを9月から翌年2月までに7播種期に分けて播種し,利用した場合の飼料価値を究明するために,消化試験を行なった。試料の刈取り期間は原則として20〜40日とし,各期間中の刈取り日ごとに等量の乾草(水分含量20%)を採取し,一括してよく混合し,めん羊に給与した。刈取り区分は次の4区分とした。1.幼穂形成期まで,2.幼穂形成期から止葉期まで,3.出穂期から乳熟期前まで,4.開花期から乳熟期まで(第3区分の再生)。なお飼料養分の表示は乾物あたりで行なった。1.各成分の消化率は生育ステージの進展に伴って低下した。2.DCP含量は若刈り期の第1・2区分の価が11.2〜21.0%で,生育ステージの進んだ第3・4区分の4.6〜9.6%より高かった。なお第1区分では11月下旬から3月上旬までの刈取り草のDCP含量は3月上旬から下旬までの刈取り草のDCP含量より高く,第3区分では播種期の遅い1番草が播種期の早い2,3番草より高かった。3.TDN含量は第1・2区分の価が70.4〜87.3%で第3・4区分の58.7〜72.4%より高かった。なお第2区分のTDN含量は2番草より1番草に高いものがみられ,第3区分では播種期の遅い1番草が播種期の早い2,3番草より高かった。
  • 小野 茂, 中島 尚徳, 江原 薫
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 10-19
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    刈取りの時期と高さの違いがオーチャードグラッスの分けつの消長に及ぼす影響を明らかにするため,同一栄養系に属する個体を用いて4回の実験を行なった。刈取りの時期は4月,8月,9月および11月の4期とし,刈取りの高さは地上6cmおよび3cmの2処理とした。供試個体は根長を10cm,茎数を3本に統一し,個体のままか,1本ずつの分けつに分けた後で刈取り処理を加え,直ちに木箱に植付けた。調査は刈取り当日,刈取り後4,12,24,40日目の5回にわたって行なった。1.刈取り後40日目の既存分けつの再生部重量と新分けつ数およびその重量は,4月刈りの場合が最も多く,次いで9月刈り,8月刈り,11月刈りの順となった。既存分けつの枯死率は4月と8月の刈取りの場合に高い価を示した。2.高・低両刈取り処理区を比較すると,株・根の炭水化物量とその消耗の程度,既存分けつの枯死率,乾物の再生産量(再生重と新分けつ重の計)などの点で,概して高刈り区の方が良い結果を示した。3.既存3分けつの中では古いものほど多くの乾物生産をあげる傾向が認められた。ただし4月刈りの場合は例外的で,親分けつが生長点を失なったため再生せず,新分けつ生産の点でも子分けつより劣った。4.多くの場合,親分けつの乾物再生産量は子分けつを切離すことによって増加し,逆に子分けつは親分けつに着生している場合に多くの乾物生産をあげた。このことは初期再生過程の親・子分けつ間に養分面での依存関係が存在する可能性を示すものと考えられた。5.株・根の炭水化物量は刈取り後12日目まで減少し,その後は増加した。再生部の全窒素濃度は刈取り後12日目まで顕著に増大し,以後は減少するか停滞した。これらの点から,貯蔵養分に依存した生長が行なわれた期間は,刈取り後12日目ごろまでであろうと推定した。6.株・根の炭水化物の減少率は,時期的には8月刈りと11月刈りの場合に大きく,刈取りの高さ別には4月刈りを除いて低刈りの方が大きかった。7.以上の結果から,実際栽培では盛夏期や晩秋の刈取りを避けるとともに,刈取りの高さについても再生産態勢の悪化を招かないよう十分に配慮する必要があることを指摘した。
  • 鳶野 保, 坂東 健, 蒔田 秀夫, 小倉 紀美, 吉田 悟, 坪松 戒三
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 20-26
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    最近における乳牛頭数と経営規模の拡大の要求に対して機械装備が伴わない場合に,省力化のため無細切サイレージが調製されているので,細切サイレージと比較して,その化学的品質,乳牛飼養効果から,利用価値を明らかにしようとした。試験1:両サイレージとも40t収容のトレンチサイロを用い,オーチャードグラス,チモシーを主体とした同一原料草を予乾して調製した。発酵温度はいずれも低温発酵で終止したが,サイロ開封後無細切サイレージは,取り出し表面が一時再発酵した。無細切サイレージは化学的品質が劣り,有意差ではないが消化率が劣り,乾物摂取日量,産乳日量,4%FCM日量などが有意の減少を示した。試験2:前試験と同様の原料草を用い,無細切サイレージの品質を向上させるため,予乾して20t収容のタワーサイロに調製した。細切サイレージは,試験1と同一のトレンチサイロに高水分で調製した。無細切サイレージは低温発酵で終始し,開封後の再発酵はみられなかった。しかし,化学的品質は乳酸含量が低く,酪酸および全Nに対するVBNの比率が高いことなど化学的品質が劣った。試験1と異なり,水分含量が低いためかサイレージの乾物摂取日量がやや多かったが,飼料成分ではNFEが減少しているので算定値によるTDN含量がやや劣り,産乳日量は試験1同様有意の減少を示した。しかし,乳脂率が増加したので4%FCMでは有意差が認められなかった。以上2年間の結果から,無細切サイレージの品質を向上して,細切と同等の飼料価値にすることは,やや困難であることが判明した。従って,経営規模拡大途上の過渡的な技術としての意義は認めるが,乳牛飼養の実際にあたっては,濃厚飼料の増給などその給与法に注意する必要がある。
  • 前田 敏, 松田 弘行, 常深 邦晃, 岸 信夫
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本試験はローズグラス草地へのイタリアンライグラスの追播導入方法ならびにそれに関する問題点について検討したものである。その結果,次のようなことが明らかとなった。1.イタリアンライグラスは初期生育が旺盛なため,ローズグラスの再生とともにいちじるしい徒長現象を示す。この結果,上位葉は直射日光を受け完全な遮光下におかれることなく,群落が3000g/m^2程度の繁茂量に達しても,なお緩慢ではあるが生長を続け,枯死消滅することはなかった。2.このような繁茂状態のローズグラスーイタリアンライグラス混播草地を刈取って,イタリアンライグラスの再生を有利に展開するためには,イタリアンライグラス徒長のため低刈りは避けなければならない。9月上旬に追播処理を行ない,10月上旬に1番刈りを行なえば,11月上旬に植生の交替を完了することができた。追播後,10月上旬,11月上旬の刈取りは,それぞれ3000g/m^2程度が可能であり,植生交替は円滑で,収穫の中断は認められなかった。
  • 高橋 正行
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 32-37
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    高水分材料埋蔵時の空気混入率の差異が,サイレージの品質に及ぼす影響を検討するため,イタリアンライグラスを用いて1965年春および1966年秋の2回にわたり調製試験を実施した。埋蔵時の空気混入度の表示方法として,埋蔵容積から空気不含材料の容積を差引いたものを空気量とし,埋蔵容積に対するその割合をもって空気混入率とした。そのために空気不含材料の密度を測定した結果は,1.045±0.002(g/cc)(春)および1.037±0.007(g/cc)(秋)となった。これらの材料を,空気混入率46%,59%および73%(春),42%,57%および71%(秋)のそれぞれ3段階に埋蔵し,おのおのに325.2kg/m^2および81.3kg/m^2(春),400kg/m^2および100kg/m^2(秋)の2種の加重を加えてサイレージを調製した。サイレージの品質は,春,秋とも空気混入率約60%のものが,加重に関係なく最も良好であり,空気混入率の低いときは加重の軽いほど,また空気混入率の高いものでは加重の重い方がよい品質のものが得られた。このことは,サイレージ埋蔵時の空気混入率の差異は,発酵過程にかなりの影響を及ぼすものであることを示すと考えられた。
  • 高橋 正行
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 38-43
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    高水分および予乾イタリアンライグラスを用い,それぞれを密封方式および加重方式で埋蔵した場合,埋蔵当初の空気混入率の差異がサイレージの品質にどの程度の影響を及ぼすかを検討する目的でこの試験を実施した。高水分および予乾材料とも,密封,加重いずれの場合も埋蔵量は600kg/m^3,450kg/m^3および300kg/m^3の3段階とし,加重方式の場合には,各埋蔵段階ごとに400kg/m^2および100kg/m^2の2種の加重のもとにサイレージを調製した。高水分材料の場合は,加重方式を排汁および無排汁の二通りに細分した。各埋蔵段階における空気混入率は,高水分の場合600kg/m^3では42.1%,450kg/m^3では56.6%,300kg/m^3では71.1%,また予乾材料の場合にはそれぞれ44.9%,58.7%および72.5%であった。サイレージの品質は,高水分材料では,密封,加重いずれにおいても450kg/m^3の場合が最もよく,ついで600kg/m^3,300kg/m^3の順となった。加重の場合には,450kg/m^3ではサイレージの品質は加重の大小にほとんど影響されなかったが,600kg/m^3では加重の小さい方が,300kg/m^3では大きい方が品質が良好であった。また,排汁の効果は認められなかった。予乾材料では,密封,加重いずれにおいても600kg/m^3が最もすぐれ,ついで450kg/m^3,300kg/m^3の順となった。加重の場合には,どの空気混入段階においても加重の大きい方が小さい場合よりも品質が良好であった。これらの結果から次のことが推察された。1.高水分材料,予乾材料のいずれにおいても,埋蔵当初の空気混入率の差異はその後の発酵過程に影響を及ぼし,サイレージの品質に差を生ぜしめる。しかし,その程度は予乾材料の方が少ない。2.高水分材料では,空気混入率が55〜60%の場合に最も良好な発酵が行なわれたが,予乾材料では空気混入率は45%以下であることが望ましいと考えられた。
  • 高野 信雄, 山下 良弘, 難波 直樹, 鈴木 慎二郎
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 44-50
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    15トン容の試験用塔型サイロを用い,一貫機械化体系のもとで低水分サイレージを調製した。埋草時の踏圧の有無とサイレージの品質,消化率および養分回収率を調査し,あわせて育成牛に対する飼養効果について究明した。1.原料草は2番草でオーチャードグラスとラジノクローバを主体としたもので,刈取り後圧砕・反転で予乾を行ない,ハーベスターで収穫した。2.埋草にあたり常時踏圧を行なったサイロ1では1m^3 194.2kgの乾物が埋蔵されたが,無踏圧のサイロ2では123.5kgであった。3.サイレージ発酵温度は上部,中部,下部の順に高く,また無踏圧のサイレージは高温発酵を経過し,取出し後の再発酵やカビの発生が顕著に示された。4.サイレージはpH高く,乾物換算の有機酸含量が低く,酪酸は僅少であった。5.高温発酵を経過した無踏圧のサイレージは明らかに乾物,粗蛋白質,可溶無窒素物の消化率が低かった。6.踏圧したサイレージの乾物回収率は86.7%であったが,無踏圧のサイレージでは64.6%と低かった。7.育成牛に対して2番刈りの低水分サイレージを自由採食させた場合には,一日一頭あたり0.5kgの配合飼料給与で0.772kgの標準発育が示された。
  • 富永 時任, 西山 幸司
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 51-55
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    1967年,福山市でエンバクの葉に条斑を作る病害が発生した。葉では初め半透明,楕円形の小病斑ができ,さらに葉脈に沿って縦に伸び,長さ20cmにも達する半透明,褐色の条斑となる。葉鞘にも葉と似た病斑ができる。発病株は下葉からしだいに枯れ上がるが,発病が激しいと生長点が侵され枯死する。3月上旬から発生し,5月中旬には終息する。品種ドイッ黒が激しく侵されたが,隣接のホワイトターターはやや発病少なく,北支那は全く発病しなかった。分離細菌をエンバクかさ枯病菌P. coronafaciens,イタリアンライグラスかさ枯病菌P. coronafaciens var. atropurpurea と寄生性および細菌学的性質を比較した。前二者はエンバクだけを侵したが,後者は多数のイネ科植物を侵した。エンバク上の病斑は本分離細菌は条斑であるが,エンバクかさ枯病菌はかさのある楕円形大形病斑,イタリアンライグラスかさ枯病菌はかさのない小病斑である。前二者の細菌学的性質はよく似ており,その差異は緑色螢光色素,普通寒天培地上での褐色色素の産生の有無のみである。これらは系統間の差異と考えられるので,両者の性質はほとんど変わりがないといえる。以上の寄生性,病徴およびP. coronafaciensに似た細菌学的性質から,分離細菌をP. striafaciens (Elliott) Starr et Burkholderと同定する。本病はわが国未記録病害なのですじ(条)枯細菌病と命名する。
  • 兼松 満造, 木部 久衛, 関川 堅, 野村 晋一, 沢崎 坦, 清水 吉平, 大神田 昭雄, 瀬野尾 有司
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 56-75
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    山岳の多いわが国では,新たな草地開発はこれらの山岳地帯にその多くを求めなければならない。古くからの慣習の牧野でも標高2,000mぐらいまでは利用されてきている。長野・山梨県下では近年標高1,000〜2,000mの高海抜山岳地帯に近代的な草地の開発・改良が,国の奨励助長策の下に逐次進められつつある。米国ではコロラド州など7,000feet前後の高地もひろく家畜が放牧され,南米アンデスの高地帯やスイスの山岳放牧はより一層の高海抜地で行なわれている。とくに夏季に集中する降雨と急傾斜地の多いことなど外国とそれとは異なった自然条件下にあるわが国の山岳地帯でも,古くからの経験の上に森林の撫育とも併せて,土壌と水の保全に十分留意すれば,標高2,000mぐらいまでの草地の開発と利用は,積極的に推進すべきであろう。わが国の高海抜地帯とみられるこれらの山岳地帯は,冬期間の長さと凛烈な寒気を除けば,むしろ寒さによく耐えるわが国の乳牛,肉牛,緬羊にとって,夏季の高温の強い感作から免れることと,その多くが北方系に属する既導入牧草類の春から秋へかけての生育の季節変動が低暖地に比べて小さいことからも有利な点が多く,このような背景から高層草地は高く評価されるべきであると考える。そこでこれらの高海抜山岳地帯の草地とそこでの放牧家畜について,野外の生態学的ならびに生理学的調査を行なうこととし,草地と放牧家畜との対応関係についての基礎的知見を求め,この種地帯における草地の利用と放牧家畜の管理技術の改善に役立つことを目的としてこの研究を行なった。調査研究の対象草地の概要は表1のとおりである。これら3草地のほか,心拍数の計測と気象要因と泌乳量の変動に関する調査のため信州大学附属農場(標高770m)および東京大学附属牧場繋養のホルスタイン種の泌乳牛,心拍数の計測と行動調査のため扉牧場の牛群が夏季放牧される鉢伏牧場(標高1,800〜1,900m)も調査の対象とした。1.上記3草地は豪雪地帯を除くわが国の中部山岳地帯の気象を代表するhomo-climatic zoneにあるということができよう。すなわち調査の結果では年平均気温6〜8℃,年降雨量1,400〜1,600mm,気圧823〜890mbで,夏季最高気温が28℃を越えることは稀であり,一方冬期の最低気温は往々-15℃以下となる。気温較差が年間を通じて大きく,相対湿度は年間を通じて高く65%以上で,降雨量は5,6,7および9月に多く,11〜4月の間に少ない。8月はやや乾燥気味で草の生長がやや停滞する。冬期の寒気はきびしいが,積雪量が1mを越えることは稀であった。なお年間を通じて晴天の日は紫外線量が大きく,6,7および8月に濃霧や驟雨が多い。2.このような気象環境のもとで,草地植生の質と量の季節的変動は,低暖地にみられるような夏季の高温障害の度合は著しく軽減され,適切な放牧管理のもとでは,放牧期間を通じてとくに質的に高い水準を維持している。このことは牧草草地で一層顕著であるが,自然草地でも秋の後半の急激な質的低下を除けば同じような傾向であった。冬期における扉牧場の笹葉は夏季に比べてやや劣るが,なお比較的高い質的水準(C.P.10%以上)を示した。3.霧ケ峯牧場野草と扉牧場の笹葉刈取り試料の分析の結果,微量元素はいずれも低い値(Co-0.16,Cu-1.4〜7.6,Zn-18.1〜30.8ppm)を示した。しかし霧ケ峯牧場で隣接した同じ土壌で石灰および燐酸を多投し,かつN,PおよびK肥料を施用して造成した牧草地の刈取り試料は前者の約倍量(Co-0.33〜0.39,Cu-11.9〜14.0,Zn-47.8〜68.8ppm)の微量元素を含むことが明らかとなった。なおこの傾向はMoについても同様であった。4.標示物質法による扉牧場およびキープ農場での7回の放牧採食量の調査で,前者の昼間放牧では充分採食されていないこと,一方優良な牧草草地であるキープ農場の全放牧では満足すべき採食量を示した。5.なお放牧採食量と草の質と行動形の調査から算出したrt/gt値の間には,草生密度がとくに低くない限り,明らかに相関関係のあることが認められた。6.放牧行動形の連続調査の結果,乳牛群のそれぞれ異なる行動形の遷移は,それぞれの草地ごとにおおむね一定のパターンを示し,個体調査の成績もこれと同調した。いずれの場合でも,盛夏の候ですら放牧採食形は昼間に強く反覆していること,夜間に強い反芻形が集中することが観察された。なお放牧乳牛群の日間の遷移は律動的であったが,気候条件の急変とくに降雨,降雪が,このリズムを撹乱する要因であることが明らかとなった。7.上に述べた採食量と放牧行動形の調査成績から,放牧用諸施設のうち牧柵,門扉および牧道の整備が,管理労力の節減とも関連し,放牧草地のより効率的な利用のための制御を容易かつ確実ならしめるため極めて重要であることが示唆された。8.放牧草地の植生の質と量ならびに草地土壌の性質に対応する放牧牛の血液性状の季節的調査の結果,とくに自然草地である霧ケ峯牧場と扉牧場では,主として冬期の良質粗飼料の不足に基因すると考えられる血糖値の低下(平均値霧ケ峯-5頭-26.5mg/dl,扉牧場-12頭-28.0mg/dl)が認められ,さらに前者では血中βカロチン含量の著しい低下(平均207μg/dl,最低値60μg/dl)が冬の末期にみられたことは,両牧場の冬期間の良質粗飼料確保の重要性を示すものであろう。なお笹の純植生地たる扉牧場の放牧牛群は蛋白質,カロリー源の摂取不足は霧ケ峯牧場の場合と同様であるが,冬期にも積雪下でなお緑色を保つ笹葉の摂取が,血中のβカロチン含量のかなり高い水準(14頭の平均413μg/dl)を示していることから,わが国に多い笹の冬期飼料としての価値は高く評価されるべきであろう。9.放牧飼育牛の心機能についての一部の基礎知見を得るため,野村が創案したビート・メーターを牛体に装着して,放牧行動形別のできるだけ多くの個体について数多くの計測を行なったが,その結果,心拍数の個体差が大きいこと,しかし行動形別の心拍数は,個体ごとに休息形から放牧採食形へと(より大きい運動量の行動形へと)規則正しい増加を示すこと,各放牧行動形間の心拍数の変動の幅がジヤージー種牛がホルスタイン種牛に比べて狭かったことが認められた。これらの知見は牛の放牧飼育(育成-とくに高海抜草地)の意義と,放牧のため余分に必要とするカロリー推計への道を招くものであろう。10.低地から上記の高海抜草地に移動した乳牛は,ジャージー種牛,ホルスタイン種牛ともに高地到達時から数か月の間,赤血球数の明らかな増加を示したが,おおむね8〜12か月後には正常値となることが認められた。このことはこの程度の高地には乳牛は生理的によく適応し得ることを示唆するものと考えられる。11.同じく心機能に関して,高層草地に馴化したとみられるキープ農場のジャージー種泌乳牛32頭および信州大学附属農場のホルスタイン種泌乳牛12頭について行なった心電図検査の結果,注目すべき所見として,より高層のキープ農場の牛が信州大学附属農場の牛に比べ一般に高電位であり,とくに心電図のT波の電位がより高くQ-T間隔が長いことである。このような心電図所見の解釈についてはなお,今後の研究に待たなければならない。
  • 安達 篤, 鈴木 茂
    原稿種別: 本文
    1968 年14 巻1 号 p. 76-85
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
    白クローバの開花・結実および栄養生長に及ぼす日長・土壌水分の影響を知るために,生育型の異なるItaly,Wilkla witte weide,Louisiana Nolin'sの3品種を35°Nの自然日長および45°Nの日長に相当する長日処理のそれぞれについて自然の降雨のみの乾燥条件と,圃場容水量の60%を維持する湿潤条件とで栽培し,1961年に6回の刈取りを行なって関連諸形質を調査した。日長,土壌水分,品種をそれぞれ主区,細区,細々区に配置し,品種と処理の交互作用についての知見も得られるようにした。長日処理はItaly,Wilklaで頭花数の増加をもたらし,Italyでは3番草で自然日長の4倍(350/m^2),4番草で2倍(480/m^2)となった。Wilklaでは3番草で2倍弱(500/m^2)と増加したほか,開花のピークが早まる傾向を示した。低緯度地方産のLa-Nでは長日処理による頭花数の増加は見られなかった。土壌水分の頭花数に対する影響は日長に比べて弱いが,多湿条件は栄養生長を刺戟して頭花数を押える傾向にある。土壌水分は頭花数よりも種子の発育に強く作用し,多湿は生殖生長と栄養生長のバランスを乱して種子の登熟を妨げ,未熟種子を多くする結果を招く。日長の栄養生長に対する影響はLa-N<Wilkla<Italyの順に強いが,長日処理は葉大,L・A・I,ランナー密度および太さを減少させ,収量低下を招き,刈取りによる収量低下速度を早める。一方,多湿は日長処理による草勢の衰えを柔らげるのに役立つが,その効果はラジノ型のItalyで最も著しい。ラジノクローバでは長日処理による栄養生長の抑制効果が大きく,頭花数の増加が顕著なことから,高緯度・少雨地帯に採種地を求めることによって,ある程度の種子生産が可能であると推定された。また,高位生産を求められる中緯度地帯には逆に,生殖生長への移行にかなりの長日条件を必要とし,再生力が旺盛で生産の季節的片寄りの少ない,いわゆるnon-floweringタイプをねらうのもラジノクローバ育種の一方向と考えられる。
  • 原稿種別: 付録等
    1968 年14 巻1 号 p. 86-
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1968 年14 巻1 号 p. 88-
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 文献目録等
    1968 年14 巻1 号 p. Misc1-
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1968 年14 巻1 号 p. App2-
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    1968 年14 巻1 号 p. App3-
    発行日: 1968/04/20
    公開日: 2017/07/07
    ジャーナル オープンアクセス
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