抄録
代表的な寒地型イネ科牧草6種をとりあげ,葉鞘フラクトサンの草種による量的並びに質的多様性について検討を加えてみた。葉鞘風乾試料の85%エタノール可溶区分にはグルコース,フラクトースおよびシュクロースなどの種類のほか一部のフラクトサンが混入され,その傾向は低い平場分子量のフラクトサンを含む試料ほど著しく,トールフェスクでは全フラクトサンの20%にも達した。ゲル濾過法によるチモシー由来のフラクトサンの重合度が著しく大で,以下オーチャードグラス,ペレニアルライグラス,メドウフェスク,レッドトップ,トールフェスクの順で小であった。同様の結果はフラクトサン分子中に含まれるグルコース含量を定量しても得られ,重合度の小さいレッドトップ,トールフェスクでDP.10前後,比較的大きいオーチャードグラスで50前後,ペレニアルライグラス,メドウフェスクではDP.20〜30附近にあることが推定された。