抄録
早生から晩生を含むイタリアンライグラス20品種を供試し,4月〜6月に3回刈取る多回刈り区と,出穂期群別にそれぞれの出穂期に2回刈取る出穂期刈り区について,刈取りごとに,収量,草丈,一茎重,茎数を調査した。多回刈り区における刈取りごとの収量の変動は,早春における生長の良否,節間伸長期の早晩およびその期間における生長の良否,再生力などの生育特性の違いによって品種特有の型を示した。第2回出穂期刈りと多回刈りの3番刈り収量は主として再生力の大小によってきまるものと考えられた。出穂期刈り区の収量と多回刈り区の合計収量との間には密接な関係が認められなかった。このことは刈取方法の違いによって品種の評価が異なることを示すもので,育種に際し,収量に対する選抜はこのことを考慮しなければならない。収量と収量構成形質との相関は,草丈が最も高く,ついで一茎重であり,茎数は多くの場合高い相関が得られなかった。