抄録
1.ススキの火入れの時期が遅いか,または分けつ時期が早く生育が進んでいる茎ほど,火入れの直接の影響により枯死するものが多い。2.春先の火入れで枯死する茎はなく,そのような場合の茎数増は生育初期に多少緩慢であったが,その後は無火入区(U区)とほぼ同様に経過した。5月〜6月中旬の火入れでは約10-56%の茎が枯死したが,その後の茎数増はU区を上まわった。6月下旬の火入れでは約70%以上の茎が枯死し,火入れの時期が地下茎内の貯蔵物質がほぼ最低になる時期に相当するために,その後の茎数増はU区を下まわった。3.火入れの直接の影響以外の条件による枯死茎は,夏季および火入れ直後に多く,枯死率はU区で約20-30%,火入れ区では50%を越えることがある。これらの枯死茎は春先から6月頃までに分けつした茎で,基部直径が細く,生育が遅延しているものに多い。4,7月以降に分けつした茎の約90%は越冬した。5月に分けつした茎でも約5-10%が越冬し,そのうちの一部は秋まで生存した。しかし越冬茎が二冬を越すことはなかった。