抄録
カラタチ (Poncirus trifoliata (L.) Raf.) 染色体のクロモマイシン A3 (CMA) 染色およびプロピジウムイオダイド (PI)/4'-6-ジアミジノ-2-フェニルインドール (DAPI) 染色を行った.PI/DAPI 染色の PI (+) 領域は CMA 染色の CMA (+) 領域と一致しており,PI (+) シグナルは CMA (+) シグナルに比べ安定していた.PI (+) シグナルの相対的な大きさを加味したバンドパターンとシグナルのない染色体の形態から,18 本のカラタチ染色体は 9 グループ (2B1 + B2 + B3 + 4D1 + 2D2 + D3 + D4 + 2EL + 4E) に分けられた.ディゴキシゲニン-ローダミン(赤色)でラベルしたカラタチDNAとビオチン-FITC(緑色)でラベルしたウンシュウミカン‘南柑 20 号’(Citrus unshiu Marcow.) または‘土佐文旦’(Citrus maxima (Burm.) Merr.) DNA の二重プローブを用いてカラタチ染色体に genomic in situ hybridization (GISH) を行った.明瞭な GISH シグナルが PI (+) 領域と同じ位置に検出された.GISH シグナルの色調はビオチンプローブをウンシュウミカンとしたときは黄色と緑色,‘土佐文旦’としたときは黄色と赤色であった.このことから,カラタチは‘土佐文旦’よりウンシュウミカンに近縁であると考えられた.すべての B 型染色体の二次狭窄部と D4 型染色体端部の GISH シグナルは,いずれのビオチンプローブでも黄色または緑色であったことから,カラタチ染色体のこの部位はウンシュウミカンおよび‘土佐文旦’ゲノムと相同性が高く,保存領域である可能性が示唆された.