日本草地学会誌
Online ISSN : 2188-6555
Print ISSN : 0447-5933
ISSN-L : 0447-5933
牧草の再生に関する生理・生態学的研究 : 第18報数種イネ科牧草の生育段階別再生量におよぼす追肥および相互遮蔽の影響
名田 陽一江原 薫
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1970 年 16 巻 4 号 p. 263-267

詳細
抄録

エンバクおよびローズグラスの生育段階別再生量におよぼす追肥および相互遮蔽の影響をみるために,刈取り2週間前追肥区,標準区,模擬集団区を設けて調査した。エンバクおよびローズグラスの両草種とも,追肥区の再生量は他の処理区に比較して大であった。エンバクの再生量は,各処理区とも生育段階が進むにしたがって減少したが,追肥および相互遮蔽が特定の生育段階で,とくに強く作用するという現象は見られなかった。ローズグラスの再生量の変動の様相は各処理区ともほぼ同様であり,栄養生長期に少なく,完熟期に多く,その中間の生育段階である節間伸長期,出穂期,登熟期ではほぼ同じ位であった。しかし,模擬集団区の栄養生長期の再生量は極端に少なく,再生障害を起こしているのが見られた。ローズグラスの再生障害の原因としては次のことが考えられる。1. T.A.C.含有量が模擬集団区の栄養生長期と節間伸長期とに少なかった。2.刈取り時の再生可能な分けつ数が模擬集団区の栄養生長期と節間伸長期に少なかった。3.各処理区において,栄養生長期の新分けつによる再生がなかった。以上の原因が重なり合って,模擬集団区の栄養生長期に再生障害が起こったものと考えられる。

著者関連情報
© 1970 著者
前の記事 次の記事
feedback
Top