日本草地学会誌
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放牧強度が草地生産性に及ぼす影響
小竹森 訓央井村 毅広瀬 可恒
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1972 年 18 巻 2 号 p. 122-129

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抄録
1.放牧強度が草地生産性にどのような影響を及ぼすかを牛乳生産量などから検討した。2.単位面積あたりの放牧頭数は,標準放牧を2.50頭/ha,重放牧を3.125頭/haとした。3.標準放牧は2.0haを,重放牧は1.6haの牧草地をともに4牧区に等分し,5頭ずつの搾乳牛を放牧供試した。放牧利用は,標準放牧を基準として両群とも同一の輪換放牧形式で行ない,放牧余剰草は乾草調製して供試牛に給与した。濃厚飼料は両群とも同一量とし,泌乳量の約20%量とした。4.乳牛1頭1日平均のFCM生産量は,標準放牧の14.68kgに対して放牧強度が25%大きい重放牧では14.23kgと若干少なかったが,牧草地1haあたりの草地生産FCM量は5.44tに対して6.54tと20.2%もの増加をしめし,放牧強度が草地生産性に大きな影響を及ぼしたことが明らかであった。5.牛乳組成および乳牛の増体成績については,放牧強度の影響はほとんど認められなかった。6.牧草地1haあたりのTDN生産量は,標準放牧の3.45tに対して重放牧は18.3%多い4.08tであって,放牧強度を高めたことによって草地の利用率の向上したことがうかがえた。7.過去2ヵ年間の放牧方法試験から通算した成績からみても,放牧強度が高まるにつれて乳牛1頭あたりの生産性は僅かずつ減少しているが,牧草地1haあたりの生産性は増大する傾向が認められた。
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© 1972 著者
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